夏休みがおしえてくれる  |  davinci

 

夏休みがおしえてくれる

ブンゲイ ダ・ヴィンチ

中学三年生の女の子から届いたお手紙はある。だから、やろうと思えば(三人の)フジタさんの手紙とおなじように書き写すことは可能であるのだが、これも第七回のときにもちょこっと書いたことだが、彼女の場合は(三人の)フジタさんとちがって身元がわかるというか、本名で送ってきてくれている。それに、内容も奇妙奇天烈というか、最後のほうはなんだか引用されることを前提にしてのような手紙を送ってきたフジタさん、さらにはそれに呼応するかのように手紙を送ってきた新たな二人のフジタさんらにたいし、その女の子はあくまで普通のファンレターを送ってきてくれたわけで、わたしが手紙を書いたのはフジタさん(初代)に感化された影響もすくなからずありますといった内容のことも書いてあったりはしたけど、基本的には作品の感想と作者であるぼくへの応援、励ましなどがメインとなっている。まあ、いうてみたらプライベートなもので、それを公にするのはいかがなものかと思われるし、

まともな神経の持ち主のぼくとしては相手のことも気遣うであろう。
 そんなわけで、まったくもってファンの方からの温かいお手紙はうれしいもんである。と、手紙が編集部経由で届いたときの喜びを思いだしつつ、ほっこりとした気分に浸っていたわけであるが、それに引き替え、今回届いた二人のフジタエリコさんからの手紙、これはなんなんですか? まったくもって横暴なことをしやがる、ほんとに困ったもんだ、と困惑したり憤ったりしているのかというとそんなことはなくて、さっきもちょっといったように、うれしい気持ちもある。そして、考えさせられもする。
 ぼくはこの二通の手紙を読んで、いろいろ考えさせられた。だからこそ、本来なら連載が終わっているところを一回分増やし、いまこうして全文を引用しているわけである(中三の女の子から届いたファンレターは引用しなかったわけだけど。ちなみに、著作権がどうのこうのといって

夏休みがおしえてくれる

訴えたりしないでね。←これは二人のフジタエリコさんにいってます)。じゃ、なにを考えさせられたのかというと、いろいろ考えさせられた。その「いろいろ」とはなんなのかというと「いろいろ」としか答えようがなく、その「いろいろ」についてぼくはいろいろと考えてみようと思う。
 ぼんやり考えてればわかるかもしれないし、わかんないかもしれないし、よくわからないけど、まあそのうち、ふっとなにかが見えてくるかもしれない。
 ぼくはこれから沖縄だ。夏休みだ。その長い長い夏休みが、なにかヒントを、もしくは答えを教えてくれるかもしれない。だけど気をつけなければ、とも思う。夏休みは、いつまでもつづいていくように感じるけど、気づくとすぐに終わっているもんだから。 
          
            (完)

ブンゲイ ダ・ヴィンチ
 
夏休みがおしえてくれる
  • 著者:中川 充
作 成 日:2009 年 04月 04日
発   行:中川 充
BSBN 1-01-00023382
ブックフォーマット:#429
 

Mitsuru Nakagawa

なかがわ・みつる●1977年、奈良県生まれ。2006年、ネット上に掲載された短編『POKKA POKKA』への読者投票を経て、第1回ダ・ヴィンチ文学賞編集長特別賞を受賞。07年に初の単行本『青空チルアウト』を、08年には文庫『POKKA POKKA』を刊行した。

中川 充

 
 
 
Mitsuru Nakagawa

 
 
 

 
 
 
中川 充