夏休みがおしえてくれる  |  davinci

だから、もうすでに夏休みに入っているともいえるし、沖縄旅行から帰ってきてもすぐに仕事をはじめるわけじゃないからやっぱりそれ以降も夏休みだし、もっというと仕事が本格的に動きだしてくるのは例年十月上旬くらいからのことで、それまでのあいだはずっと夏休みといってもべつに問題はない。というか、十月とかいうてる時点ですでに「夏」ではないけどね。
 んで、けっきょくなにがいいたいねんというと、別段声を大にしていいたいことなんてなんにもないんだけど、夏休みが長くてうれしいなあ、わくわくしてまーす、とうかれていることはたしかで、これからくりひろげられるであろう楽しいことを想像しながら喜びにひたっているというのは動かしようのない事実なんだけども、夏休みがいつまでもつづくわけではなく、いずれは終わってしまうってこともしっかりと理解している。理解してはいるけど、だからどうということもなく、いまは夏休みがこれからずーっとつづいていきそうやわあという、そのうれしいような

楽しいような気分にひたりながら、ほくほくした心持になってベランダから外の風景をながめていたのであった。
                 〈終〉

ブンゲイ ダ・ヴィンチ

夏休みがおしえてくれる

 
 

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中川 充

なかがわ・みつる●1977年、奈良県生まれ。2006年、ネット上に掲載された短編『POKKA POKKA』への読者投票を経て、第1回ダ・ヴィンチ文学賞編集長特別賞を受賞。07年に初の単行本『青空チルアウト』を、08年には文庫『POKKA POKKA』を刊行した。

夏休みがおしえてくれる
  • 著者:中川 充
作 成 日:2009 年 03月 26日
発   行:中川 充
BSBN 1-01-00023206
ブックフォーマット:#429

Mitsuru Nakagawa

 
 
 
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中川 充