案ずるより 横山やすし  |  adieu

案ずるより
横山やすし

 

    


                                 「案ずるより横山やすし」ということわざの意味は、Yahoo!知恵袋によれば
「オイ、コラ!くよくよすな、カンカンカーンといったらんかい!」ということらしいです。「メガネ、メガネ」とメガネ萌えのポーズをとるのがデフォルト。

というわけで、しばらく書き散らかしていこうかと思います。

案ずるより
横山やすし

003 消費者たち

002 異形の人

001 アラフォーと呼ばれる世代について

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  消費者たち。

 しかし、高等遊民というには収入が厳しくても、彼らは今、仕事の代わりに余剰時間が増えたので、結果的に確実にシーンを守っている。
そう、カルチャー系難民たちが、金の匂いのしないコアなカルチャーシーンを支えている。経済効果の渦の小さな運用。
 大きな皿をいっぱいにするにはたくさんの料理とたくさんの食べる人が必要だが、彼らは時節に移ろいやすい。バイキングのように彼らはたくさんの料理をつまみ食いしながら浮遊していく。でも、小さな皿をいっぱいにする小さな料理を好きな人は、少人数で積極的に食事に参加する。自分たちの役割を認識し、生産しなくても消費することの意味を知っている。 
 発信者から受信者までの距離が短く中間搾取の少ないカルチャー分野は、今ちゃんと生き延びている気がする。           ▲

 ここ最近、毎日仕事をしている人が減ったような気がする。
日中に仕事してなくても夜は徹夜してたり、時間の長短にかかわらず、毎日なにかしら仕事をしてた人たちが、今はなんとなくプラプラしている。世の中の仕事の絶対量が減ったせいか。
 プラプラしてる人たちは仕事のかわりに遊んだりしている。もちろんあまりお金は使ってはいけないので派手な豪遊はしない。
無駄なつき合いはせずに、一番好きなものにだけお金を使う。
 イベント、ライブ会場やクラブのにぎわいっぷりを見ると、ここには不況はないのかと思うが、彼らのほとんどは生産の量よりも消費の量の方が多そうだ。
 仕事も金もある時は、時間がない。忙しい時は遊ぶ時間は二の次三の次。

二階堂和美という凄まじい人間楽器を観た。

体の中にたくさんのケモノを飼っていて、そいつらが勝手に動き、大声で歌い、でたらめに暴れ、雄叫びをあげる。
彼女の輪郭はもはやそれを御しがたく、いつか破裂するんじゃないか、ケモノたちが皮膚を突き破って現れるんじゃないか、そんな風にドキドキしながら私たちは彼女を見守る。
若い女の子とは思えないような、これ以上ないくらいに顔をしわくちゃにして、皺だらけの顔を観客に突き出しながら唸る様子を、全員でかたずを飲んで見守る。
あれだけの声量を持っていれば、いかようにでもきれいにまとめられるのに、ケモノたちがそれを許さないのだ。生きるエネルギーが暴動寸前まで燃えている。

  異形の人〜二階堂和美。

しかし、いくらケモノが暴れようと、決して彼女の輪郭は壊れない。ゆるがない。
白く透き通るような彼女の肌は愛という柔らかいハンカチーフで、ケモノたちを力強く包んでいる。
だからケモノたちは思う存分、彼女の体内で走り回る。憑かれたように飛び上がる。
彼女の中の無数の弦を弾き、無数の鍵盤の上を踊り狂う。彼女の体はギターになり管楽器になりピアノになり、生きることを謳歌するケモノたちの息吹が体中からほとばしる。

二階堂和美が女でよかった、とつくづく思う。


http://www.nikaidokazumi.net/

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                                       2009.01.12 @六本木スーパーデラックス
[大友良英&高嶺格 出版記念 BIG & HIGH]にて

*高嶺さんとナジャの掛け合いドラアグショーも秀逸だった。
*個人的には二階堂さんの歌はイルリメさんなどにプロデュースされてるやつが好きだ。
*二階堂さんは、ある歌で完全に時間を止めていた。意のままに雲の流れる時を操っていた。呪術的ですらあった。
*大友さんの朴訥とした歌、3人の「赤い風船」は、観客ありきの奇跡のパフォーマンス。むしろ、あれを成立させた客と場を育成してきた彼らの年月と実績に頭が下がる思い。  ▲

アラフォーと呼ばれる世代が過ごしてきた時代について言及させていただきたいと思います。

「なんとなくクリスタル」はすべてを覆したと思う。「頭の空っぽな女子大生がブランド物をたくさんぶら下げて歩いている小説」とか言われたけど、社会は女子大生をひとつの種族として初めて認めた。しかも脅威のまなざしで。

 その後に大学に入った私たちは、女子大生という肩書き自体がブランドであることを最初に享受した世代だと思います。そしてオールナイターズ、オナッターズ、おニャン子クラブ・・続々と女子大生は商品化されていった。
 まあ、今でいうキターーーッ!という感じ。どこのスポーツ新聞も「キャンパスでかわいい女子大生を探す」みたいな連載を始め、女子大生たちはけっこうちやほやされましたよ。不肖わたくしも一度載りましたけどね、サンスポ(父親が大事にスクラップしてたっけ)。

 誤解を恐れずに言えば、あたしたちはずっとメディアの花形だったんです。最初は田中康夫のなんクリ(なんとなくクリスタル)なのかな。実際には今のアラフォー世代より上の人たちのあやういお遊びの世界だったけど、あの辺から「素人の女の子」に対する世間の人々のすべての価値観が変わっていったと思う。

 それまで「素人の女の子」なんて見向きもされない存在だった。社会は大人たちのもので、学生なんて青くて青くて話題にもされなかった。ましてや女子学生なんて。ハーン。
とにかく社会に出ないと話にならない。私たちは早く大人になりたいと思っていた。そうしないとなめられる、小馬鹿にされる、いっぱしに扱ってもらえないつまらない存在、要するに「ちっぽけな社会のおまけ」だった。

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 そんな彼らが必死に追い求めたのは、「連れて歩いて羨ましがられる」最高に目立つ最高に素人の女の子。DCブランドのカラス族たちはおしゃれは自分のため、という自意識の高さが特徴だが、青学を中心とするニュートラ娘たちは今で言う「モテ」をビシビシに意識するオシャレだった。ただ、とにかく周り中からモテたい!という感じの昨今のモテカワに比べるとsupreme志向が強く、一番イイ男を振り向かせたい!という気位の高さが感じられました。

 そして、実はニュートラよりも男子に人気があったのがハマトラだったように思います。フクゾー、ミハマなどに代表される独特の雰囲気で、清潔感ある白や紺のソックスに聖子ちゃんカットがいかにも日本人受けするスタイルで、全国にお嬢様萌え現象を起こした。

 でも傍で見てて面白かったのは、圧倒的にニュートラのお姉さまたちの方でした。

 もちろん一番早く反応したのがファッション雑誌でした。青山学院の生徒が中心になって、今でいう「赤文字雑誌」の基礎ができたわけですからね。作り手も読み手も、プロからアマへと価値の「中核」がどんどんずれていった。

まだイケメンなんて言葉はなかったけど、男子も急激におしゃれになった時代。正ちゃん帽(正確には、青学の裏のボートハウスで売ってたニット帽で、正ちゃん帽特有のボンボンはついてない)をかぶり、それまではマクレガーのウールだったのが腕だけもしくは全面レザーのスタジャンになり、パンツはファーラー、リュックサックはデイパックと呼び名を変え、イーストパック全盛で、足元はトップサイダーのデッキシューズ。センター分けのサラサラとした茶髪で日焼けした顔。丘サーファーなんて言葉も流行りました。代ゼミでしょぼくれた浪人生をさんざん見てきたのに、いきなりコレかよ!と眩し過ぎて正視できないほどだった。

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 あら、こんなファッションの歴史を書こうと思ったんじゃなかった。
まあ、そんなわけで私たちは、大人たちにちやほやされ、イケイケの女子大生時代を過ごしたわけです。その延長線でアナウンサーになった人たちは、フジテレビのバラエティで活躍するような最初の女子アナ世代。でもほとんどの人たちは就職して初めて、厳しい現実社会に出くわした。

 ホントに厳しかったんです。当たり前だけど満員電車。当たり前だけど痴漢にセクハラ(まだセクハラという言葉はなかった)。社会は以前として、オヤジのオヤジによるオヤジのためのものだった。(そして、私たちは後のオヤジギャルになるんですが、それはまた後の話)。
当時は、電車に乗ってて車内に入ってくる男を見ると「あ、こいつ痴漢だ」って100%わかったな。あと疲れて混んでる電車に乗ると、すぐ降りる客の前に自然と立つようになったり。

 もともとはおとなしめなコンサバだったが、青学というフィルターで見事に拡大解釈されてアウトプットされたのが「JJ」の素人モデルたち。目の上真っ青なシャドウ、唇ドピンク、ライオンのようなレイヤーの巻き髪がどれだけ派手で大きいかで彼女たちは格付けされていた。クレージュ、レノマ、バレンチノ・・・。
イケメン男子を従え、公園通りを闊歩し、ブランド品を買わせて、イタトマのでかいケーキを食べて、シェーキーズのピザをほおばっていた。彼女たちにとっても、いっしょに歩く男子は、見た目がすべて。中身のない男で結構。
カラス族がサブカルなどカルチャー方面へ連結していたのと正反対、ものの見事に大きく振り子が振り切れていた。強烈だった。

彼女たちがこの後社会で活躍したかというと、そんなことはなく、意外に普通の専業主婦になったのは、ギリギリ男女雇用機会均等法以前だったからだと思いますけどね。